月白く 2
原作 細き月かかりし夜のみつうみよわがたつ窓にゆるるみつうみ
推敲 牙がたに欠けたる月の白き夜わがために光るごときみつうみ
みずうみは、冷徹に光りを縮めている顔でした。暗いのではありません。
だといって明るいのではなかった。
窓にたって夜空と、この何とも得体のつかめぬ湖とを見ていると、私は詠嘆というものが、力なく消えてしまいそうなたよりなさを覚えるのでした。
「細き月」も陳腐に思えたし、「みつうみよ」という感嘆もどこか軽々しいものに思えてきました。
どのように細いのか、という追求がなされると、私は自分のものの見方の浅薄さがいやになりました。
しかし、湖を見て、わが思いを乱していきたい旅の夜、心という抽象を何らかの方法をもって納得いく言葉にしたい、という要求も課せられてきたのです。
「細き月」は「牙がた」になりました。
そして、それは何ゆえに牙がたになったのか、を思いつめていた結果として、「欠けたる」ゆえであることに気づいたのです。
・・・それは至極当然のことであったのに、私の惰性が、歌への馴れが「細き月」で満足しようとしていたのです。