国際農産物市場と日本農業の国境調整 3

このように食料農産物が国内消費優先体制をとっていることは、貿易量の変動がそれだけ大きいことをも意味しています。


第二に、食料農産物貿易の基本的方向がいわゆる熱帯産品を別とすれば一先進国から低開発国へ、北から南へと動いていることです。


第二次大戦後におけるこうした農産物貿易の流れは、前世紀とは完全に逆です。


19世紀中葉の自由主義段階ではイギリスを軸とする国際的農工分業体制が構築され、工業製品は中心国であるイギリスから周辺国へ、農産物は周辺国から中心国であるイギリスへという世界貿易の流れが定着していたのに対して、戦後はそれが逆転してしまったのです。


こうした農産物貿易の構造変化を規定したのは次のような各国の国内事情です。


まず、先進国では農業保護の強化と農業生産性の継続的上昇により、供給が消費を上回る傾向が強まっています。


他方、低開発国では人口の増加・国民の消費レベルの上昇に生産の増加が追いつかず、慢性的な食料不足の状況におかれています。


国別・作物別の差をふくみながらも、全体としてみた場合、北はますます強く輸出に、南は逆にますます強く輸入に傾斜する方向に、現代の農産物貿易は動いているのです。

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